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映画・舞台:雨に唄えば

雨に唄えば

コートを着た男が雨の中歌い踊る有名なシーンだけ知ってて(メイドイン埼玉でもひろしがこれのパロディやってる)、それのミュージカルが来日…というのをぴあからのお知らせメールかなんかで見て、その時点ではふう~んって感じだったけど、サイト見てみたら実際に14トンの雨!?を舞台の上で降らせるって書いてあって、どうやんの!?それは絶対見ないと!と思ってチケット取った。超ミーハー

舞台は海外の俳優さんたちが演じるからセリフも歌も当然英語、舞台上で字幕が表示される?らしいけど「舞台で字幕」の仕組みがよくわからなかったので予習もかねて映画も見ました。


映画

ストーリーはコメディタッチで楽しい。ミュージカル部分はもっと楽しい!

なんか、平成~令和の、漫画アニメに限らずあらゆる物語がスタンダードになってる身からすると、これは今の時代なら主人公はドンじゃなくてドンの幼馴染のコズモの方になってそうだなと思った。っていうか初見時、結構中盤まではそうだと思ってた

場末の大衆劇場で芸を披露し、ブーイングを浴びながらも這い上がってきた幼馴染ふたり。片方(ドン)はドル箱映画俳優としてスターダムを駆け上がり、もう片方(コズモ)は撮影の際に役者たちの気分を盛り上げるため・ムードづくりのために演奏する音楽家(映画で流れる音楽をやってるわけですらない。サイレント映画の時代なので)として裏方に従事。

ここに駆け出しの美しい女優(キャシー)が現れてラブロマンスするんだけど、私の感覚なら音楽家コズモの方が相手役としてしっくりくる。金も地位も名誉もあって女をとっかえひっかえできる美形俳優ドンに本気で惚れられるもつれない態度のキャシー。さえないけれど人の良い裏方の音楽家に惹かれる麗しの女優…ってのがいかにもありそうじゃないっすか。

特に最初のシーン、新作映画の試写会劇場にコズモが現れるも客しら~っ……直後にドンが現れてキャー!!劇場大沸き!ってなってるのとか見てると。いかにもキャシー相手には逆転するフリっぽい。
誰もが憧れる美女が惚れてるのはあの金持ちイケメンじゃなくて冴えない俺!ってのはわりと普遍のテーマだし、男女の性別が逆でもよく見るし

だから出会いが最悪だったキャシーとドンが最初ギスギスしてるのも合わせて、ふたりと出会ったきっかけはドンだけどキャシーは徐々にコズモに惹かれていくんだと思ってて、それがそのままドンとラブロマンスしたので逆に新鮮な気分になりました。

実際は逆なんですけどね、コズモに惹かれる展開の方が王道からのズラシというか、王道へのカウンターというか。
ただそのズラシやカウンター展開が多くなりすぎて今では逆に多数派になっていって、そういったズラシがまだ今ほど多くなかった?時代(1952年)の映画を見て、別に三角関係でもなんでもない、ドンとキャシーのストレートラブロマンスを見て、慣れきった身としては逆に斬新だなと感じました。

いやそんなことはどうでもええ!
ミュージカル部分ですよ

コズモがドンを励ますのに踊り狂うシーン、これ本当に生身でやってんのか!?というくらい動く。この俳優さんじゃなかったら早々に足首グネってねんざしそう 私なら100回は骨折してる
とにかく身体を張っていて、パントマイムありバク宙ありのアクションが楽しい演技だった

シェイクスピアでは食ってはいけない 優雅に踊ると見せてのたうち回れ

いいな 一皮も二皮もばななの皮のように剥けた劇ス後の星見純那ちゃんにやって欲しい

それから例のどしゃ降り歌唱シーン!
ポジティブなシーンだということはなんとなくわかってたけど、ずっとサイレント映画俳優として生きてきたのにトーキー映画の登場と共演女優リナのひどい棒演技・下手歌唱で俳優生命を絶たれそう、家を売る覚悟を決める→コズモのナイスアイデア(リナの歌とセリフをキャシーに吹き替えてもらう)で解決できそう→キャシーも協力してくれる!→さらにキャシーと両想いになって別れ際にキスもしたことに心底浮かれてる歌だったんだな~ 浮かれポンチでかわいいな
身体が資本の俳優が、どしゃ降りの中で傘も持ってるのに差さずに振り回して水たまりを跳ね上げて歌い踊る、まごうことなき大はしゃぎ 風邪ひかなくてよかったな

最初の過去回想シーンも良かった。
駆け出しのドンとコズモが大衆劇場でバイオリン弾きながらタップダンスしてせわしなくパントマイムして~って。まあブーイングでしたけど。私は普通に楽しめたけど、あの時代あの劇場ではつまらん芸扱いなんだろうか…
白地に緑のチェック、ピンクの差し色のお衣装かわいい

なんか別に主要人物でもなんでもない脇役俳優の「♬ビューティホーガー」がインパクト大・メロディーも歌詞もキャッチーすぎてぶっちゃけ主題歌の雨に唄えばがかすんだ
見終わって、雨に唄えばを思い出そうとしてるのに「♬ビューティホーガー」ばっかり出てきて気がおかしくなる

ブロードウェイにオーディションに受けに行く歌も好き♡ 踊りたい!→踊れ!
スターダムを駆け上がる→謎の妖艶な美女と怪しいダンス→別の男に惹かれてフラれる→純白のドレスの美女との心象世界でのダンス→また別の男に惹かれてフラれた→しょんぼりしてたら昔の自分と出会う→歌い踊る心を思い出す
美女との謎ダンスいる!?サービスシーンだ!って爆笑してたけど見返したらこれいるんですね
スターとして大成功して美女にうつつ抜かしてたけど志したのは歌い踊ることだった!って思い出した時の輝きのためにも

リナ、口パクバレの時点で画面からスパッと消えて、以降まったくノータッチでラストまで行くからどうなったかぜんぜんわからん。美貌を売りにして図太く生き抜いて欲しいが…声もそりゃイメージとは違ってるけど個性的でかわいいし
リナの個性的な声が俳優さんの演技なのは明白であっても、なんとなくそうかもとは思ってたけど作中でキャシーがリナにあてた美声はやっぱりリナの俳優さんご本人が喋ってたのね


で、舞台。

https://singinintherain.jp/

14トンの雨~!!!(水素の音ォ~!!!)
14トンという数字に現実味がない&数字をはっきり覚えてなくて単位だけ覚えてたから、舞台観てる間は「これ何トンあるんだっけ…見た感じ2トンくらいか?」とか思ってた 全然違う

舞台装置から雨がサーって流れ始めた時の劇場の来た…!わくわく!感とてもよかった 私もめっちゃテンションあがった

SS席は座席にビニールが敷いてあって、透明ビニールのカッパが特典でついてくる
どれくらい濡れるのかな~とか思ってたら、ドン、歌いながら足さばいてめちゃ水かけてくる!そういうことか!

なんか、USJのウオーターワールドの最前列、「このお席は濡れます」って座席に書いてあるけど、いざショーが始まったら役者がコーレスで「声がちいさーい!」つってバケツに水すくって客にバッシャー!!!ってかけてくるアレを思い出した。濡れるっていうか濡らしてくるんじゃん!イルカショーでイルカちゃんがしっぽ使って客席に水かけてくるみたいな

ドンが水かけ始めた瞬間、最前列に限らず劇場のそこかしこからうっすら悲鳴交じりの笑い声(「ああ…www!」って感じの)が出ててよかった

で歌い終わって最後、ドンが口に手を当てて街頭に向かって投げるようにしてフッ!って息を吹きかけたら街頭が消えて、一幕目終了、休憩。
見る前、座席表のところに「一幕目1時間30分(?) 休憩20分 二幕目50分(?)」て掲示があって、ストーリーの展開だったり舞台の準備だったりを考慮して区切るだろうからぴったり半々にはならないだろうけど、結構差があるなあと思ってた、雨の排水が必要だからか!合点がいきました

予習してて正解だった。舞台の両脇に縦長の電光掲示板が立ってて、そこに日本語字幕が映される親切設計だったけど、それでも字幕追う→舞台観る、のに結構神経使った

映画ではドンとコズモだけだったけど、舞台では喋り方講座の先生も合わせて三人で踊る!

映画では「踊りたい!」訳だったけど今回の舞台は「踊らなきゃ!」訳だった。こっちの方が好き。なんか踊るということに抗いようのない魅力を感じてる気がして

もうおしまいだ~ってなった三人が家の中で踊ってたのは外でのダンスに変更。ベンチを倒すの結構ハラハラした

リナも楽屋で歌う!できないができにゃい!になっててかわいい

映画ではなかったリナのナンバー かわいい

マイク抱えて後ずさりして幕の後ろに控えたキャシーに曲名とキーを聞きに行くところあまりにもかわいい面白い

みんな「ふふ…www」ってなってた

リナが喋るたびに劇場がくすくすしててよかった 劇場の全員がまんまとリナ俳優さんの術中って感じで
舞台版でも最後の行方がわからずじまいだったな~幕が上がって口パクバレた瞬間にさっと捌けていったから…

でもカーテンコールでは主役三人(まとまって出てきた)と同程度にリナの俳優さんも体感で拍手大きかった 私も一番気合入れて拍手した
カーテンコールの時はなんていうか、悪役とか道化師役とかもそうなんだけど、汚れ役をやってくれてありがとう!素晴らしかったです!って気持ちを伝えようとして、なんなら主役の役者さんが出てきた時よりも頑張って拍手バチバチしてしまう 役は役、役者は役者、観客側はちゃんと分別ついてますよ!ってアピールの場だと思ってしまうというか もちろんリナの演技が素晴らしかったからが第一ですが

社長「タップダンスだ!」「タップダンスを入れろ!」
脚本家?「無理です…フランス革命の話なのに」
コズモ「想像してみてください…」→踊らなきゃ!→ぜーぜー…
社長「想像するのは難しい…もう一回やってくれ」
ばたんきゅ~するコズモ

劇場の様子を実況したり俳優にインタビューしてる人、この人は何者?ラジオ生放送してるってこと…?それとも劇場の周りで待ってる一般客に実況を聞かせて盛り上げるために劇場が雇ったアナウンサーとかか…?
ググっても公式の情報が出てこないなあ 宝塚版の情報をまとめていらっしゃる個人サイトには「有名な映画コラムニストがラジオで実況中継」って書いてあった なるほど

カーテンコール
豪華なカーテンコールだった。雨が降る中、みんな傘クルクルしながら雨に唄えばを一曲歌い踊ってくれた
追加のカーテンコールではドン、コズモ、キャシーが出てきて足で水を客席に飛ばしまくる!3人とも可愛い


劇場から出たら雨が降ってて一瞬おお…!となって運命的なものを感じた(ウマ娘ちゃんたちがちょくちょく言うやつ)、より正確に言えば雨に唄えばの舞台が現実の天気を作中世界に引き寄せた感じ
けどまあ普通に雨は嫌ですね。小雨だったけどこんなの歌って踊る気になんてなれんて!ドンどんだけ嬉しかったんや