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ファントム

https://www.umegei.com/phantom2023/

城田優版のファントムはひとことで言えばあざとい
ファントムが徹底的に気の毒でかわいそうな存在になってて、泣けるつくりになっている
実際めっちゃ泣いたし終盤はサラッサラの鼻水まで出てきた

ファントムかわいそ…するために「オペラ座の怪人」を改変しまくってるのが「ファントム」だから泣けるのは制作の狙い通りなんだけど、逆に言えば改変しまくらないとファントムは可哀想に感じにくいってことだ
城田優版ファントムは2014年にも見たので今回で2回めだけど、7年前の舞台でほとんど覚えていないとはいえ体感ではあざとさに磨きがかかっていて、序盤にファントムが支配人相手にどもったりおどおどコミュ障発揮したりする場面では「母は幼い頃に他界して父は正体を明かさず一歩引いた立場で見守っていたからファントムは情緒が未発達で心はまだ子どもで可哀想なやつなんです」というキャラ付けがのっけからあまりにも透けて見えてあーわかったわかったわかったから…感も若干…あった…が、そこからは演技や歌やストーリー、舞台そのものにねじ伏せられた

オペラ座の怪人
・お気にのクリスティーヌをコケにした主演女優カルロッタの飲み物にファントムが変な薬を混ぜる、それを飲んだカルロッタの歌声はおかしくなる。舞台は急遽バレエに変更…してる間にファントムは大道具を首吊り死体にして舞台に投下。劇場は阿鼻叫喚。不安がるクリスティーヌをラウルが安心させてふたりは婚約。ファントムブチ切れ。クリスティーヌに裏切られた!と恨みつらみ。再開した舞台にシャンデリアを落とす。クリスティーヌを狙って落とした?ラウルが危機一髪でクリスティーヌを助ける。

ファントム
・クリスティーヌの素晴らしい歌声を聴いたカルロッタは態度を改め(た風に見せかけ)、彼女を主演女優に推薦する。本番直前、クリスティーヌの楽屋を訪ね、変な薬を混ぜた飲み物を「喉のケアにいいから本番前にいつもこれを飲んでいる」というようなことを言って、クリスティーヌが飲みたがるように誘導。「私にも少しいただけませんか?」と言葉を引き出したので、渡して飲ませる。舞台上でクリスティーヌの歌声が変になる。ブーイングする観客によってクリスティーヌに物が投げられる。ファントムブチ切れ。舞台上にガス?を撒いて舞台上の人たちは全員気絶。クリスティーヌをお姫様抱っこして地下に避難させる。カルロッタがクリスティーヌを侮辱した!と怒り心頭。

・本番前、赤い一輪の薔薇を手にクリスティーヌの楽屋を訪ねようとするファントム。フィリップがやってきてクリスティーヌに大輪の薔薇を贈る。いちゃいちゃ♡→凹みまくるファントム
(僕が先に好きだったのにすぎてワロ)(しかも見染めたのはフィリップでそのおかげでクリスティーヌがオペラ座にやってきてファントムが歌声に惚れたので別に先でもない)

オペラ座の怪人
・楽しく愉快にいたずらに人を殺しまくり

ファントム
・カルロッタが地下に寄越した衣装係に顔を見られそうになったので殺してしまった。殺したくなかったのに。殺しには慣れていないんだ…との発言。
ファ「地下には誰も入れない!それがあなたの仕事でしょ!?」
ファ「(次に人が入ってきたら)殺せばいいんだ!」支配人「ふざけるな!!」ファ「じょ…冗談でしょう!」としっかり怒られる

オペラ座
・物語開始時点ですでにクリスティーヌに稽古をつけている。レッスン描写は一度だけ。
第一声が、私のクリスティーヌに粉かけようとする礼儀知らずの若者め…みたいなやつ。クリスティーヌの楽屋の鏡から現れる。ねちねちしてる

ファントム
・クリスティーヌとの出会いが描かれ、毎夜のレッスン描写も多い。
第一声が、あなたの歌声とても素敵だ。でもレッスンを受けていませんね。僕が稽古をつけてあげます。も、もちろんあなたが良ければの話だけど!と下手下手に出る。ボーイミーツガールやってる
この場面や対クリスティーヌだけに限らず、支配人に対してもおどおどコミュ障+幼い口振りや振る舞い、さらにクリスティーヌに対してはおろおろコミュ障+恋に臆病な男をこれでもかと出してくる


・「エンジェル!歌え私のために!」

ファ
・「歌えばお願いを聴いてくれますか?」「歌は自然と溢れてくるもの。君のお願いなら歌わなくても僕は聞くよ」

はあ~あざとい。
「救われるべき人は救いたい姿をしていない」がオペラ座~のファントムで、オペラ座ファントムの欠点をひとつずつ潰したり理由付けをしたり周りの言動を変えたりして救われるべき姿に直しまくったのがファントムのファントム

クリスティーヌの改変もすごい
仮面を外されて醜い顔を晒してしまい激高するファントム。彼に口づけをするクリスティーヌ。真実の愛に触れて動揺するファントムは捕らえていたクリスティーヌを逃がす。
「あなたの素顔を見せて、どんなお顔でも愛します…」「む、無理、それだけはできない。それ以外ならなんでもしてあげる」「いえ…お顔を」と3回くらい食い下がるクリスティーヌ。意を決して仮面を外すファントム。素顔を見た途端、へなへなと尻もちをついて、首を左右に振って、ふらふらした足取りでファントムの地下牢から出ていくクリスティーヌ。慟哭するファントム

こう書き出してみるとあかんすぎる
ファントムかわいそう!したいがためにクリスティーヌを言葉の責任をちらとも持たない女にすな!
と脚本に突っ込みたくなるものの、これはこれで世界自体がファントムに対して無情でめえ~っっっっちゃ好き
クリスティーヌは本気でファントムがどんな顔であっても愛する覚悟があったのに、それを即刻反故にしてしまうほどファントムの顔が化け物だったということでしょう。人は見た目じゃない!心だ!というもはや一般論にまでなっている美しい信条を醜男のツラでぶち壊しにする、これも現実…!
ファントムかわいそう萌えカバーで包んである醜いままで終わるアヒルの子をぶつけられてぞくぞくするというか!?そこは真実の愛で包み込むところだろうってところで裏切られる気持ち良さというか?これでストレートにクリスティーヌに愛されていたらありゃ萌え駄目かなと感じたかもしれないけど一回徹底的に落とすことで中途半端な萌え駄目じゃないぞ!ギリッギリのギリを狙った萌え駄目だぞ!と勝手にこちらが感じ取るみたいな ひどい改悪なのに、なんでクリスティーヌが逃げ出すここがこんなに好きなのか、まったくうまく言えない!

その後すぐにクリスティーヌに「私が無理を言ったのに逃げてしまった。謝らないと!」と言わせて、最後は命が尽きるファントムを腕に抱いて仮面を外し、素顔を見つめて微笑む彼女で〆ているので、一回は覚悟が折れたもののクリスティーヌは宣言通り「どんな顔でも愛した」ので、ひどい女の評はぎり覆せた…と思う…
クリスティーヌはひどい女じゃなくて脚本にひどい女にされただけなので、どれだけおるかわからんが、オペラ座~を見ずにファントムだけ見た人にクリスティーヌだめじゃんという感想を持たれたらやだな

支配人が実はファントムの父だった、は全部お前が悪いんやん…でしかない
女が子どもを身籠るが、相手の男にはすでに妻子がいたので女は精神を病み、男の前から姿を消す。男が女を探し出すと、女は怪しい老婆から薬を買っていて常飲していて、案内された家は家とも言えないような地下(それがここオペラ座の地下)。生まれた子どもは薬の影響で化け物の顔で生まれる。けれども女は我が子の醜さにまったく気が付かず、最も美しい存在だと思って育てた。
うん パパが悪い 何やってんねん

完全に別人だよ「オペラ座~」のファントムと「ファントム」のファントムは!城田優の解釈も入ってるだろうから余計に
クリスティーヌも別人だし支配人も別人だし
悪役を盛るための悲しい過去!改変される周囲の人物!で一本舞台つくっちゃったみたいな感じ…あざとい、でもそこまで嫌いになれない、好きな場面もいっぱいある 総合的には好き
別物だけど、でもでもやっぱりオペラ座のファントムの話なら、あのデデデデデ~のメインテーマと、それとともに登るシャンデリアが、キレたファントムが落とすシャンデリアがあって欲しい!!でも、シンボルと言うべきそれらがないおかげで、別物ですと線を引いて演じている、線を引いて見れている気もする。

私はオペラ座を先に見てファントムを見たから、ファントムのファントムに一方通行のような…桑田怜恩や舞園さやかのような…やらかしたことを仕方なかったんですよと後から都合よく改変する歴史修正を感じたけど(ただこの3人は好き)、同じ原作小説をもとに舞台つくってるわけだから、どっちがより原作に忠実かを確認しない限りはなんとも言えない


歌うま!城田優もクリスティーヌの真彩希帆さんもめっちゃうまかった
クリスティーヌがかなり宝塚ファントムのクリスティーヌに似てる!演技指導で似てくるのかな?と思ったら本人だった!

舞台上の全員をガスで気絶させた後、ファントムがピータパンみたいに上から降りてきてびっくりした Gロの天秤にかけられた友情で何回も見たスティンガーだ コートがふわーってなっててかっこいい

ファントムの仮面を外した顔をオペラグラスを覗いて必死に見ようとしたけど、城田優ファントムは角度を匠に調節して客席には一度も見せなかった。
隠したがっている顔を、クリスティーヌだけが見るとこを許された顔を見ようとしてすみませんでした…という気持ちになった

カルロッタの相手役のウバルド・ピアンジは、オペラ座ではこの人も歌手。舞台上の相手役であり、プライベートでもパートナーっぽい。ファントムではアラン・ショレという名。カルロッタの夫であり、オペラ座の新しい支配人。歌手ではない。
オペラ座~で舞台で演じている最中にファントムに殺されるウバルド。カルロッタは無事。ファントムでは、クリスティーヌに薬飲ませたカルロッタがキレたファントムに殺される(白い花束が赤く染まる表現)。アランは無事。生死が入れ替わってる

クリスティーヌを地下のピクニックに誘う 地下を案内する。緑と光に溢れている。地下なのに…? さらに動物たちが複数住んでるっぽい。なんで…?
舞台装置を動かしてくれる亡霊はクリスティーヌにも見えてる この人たちは?とファントムに聞く。なんて答えたかは忘れた… よくわからない、行き場所のない寂しい人たちだよみたいな感じだったかな~…
ピクニック中に自分の顔を自虐する、クリスティーヌが反応に困っているのにも気づかず、自虐しまくって変な空気になる、へへ…つって空笑いして慌てて話題を変えようとする 痛々しい
警察に撃たれたファントム、支配人が警察に見つからないよう物陰に隠す。
悪くなかったよ、一瞬だけでも彼女に顔を見てもらえた。あなたも見たい?ピクニック用の緑スーツに合わせた緑の仮面を外すといつもつけてる仮面(ええ?)。君の顔は見たことがある。どこで?とファントムは不思議そうにしていたけど、子どもの頃に仮面つくって渡してくれたのは支配人やんか。忘れてた?子どもだったから支配人と認識してなかった?仮面渡した後に支配人は姿を一時くらまして、別人としてオペラ座にやってきた?わからん。支配人が、父は自分だと伝える。気づいてた、とファントム。
最期の時を惜しむように楽しく明るく話す父子。顔、どう思った?もう少しマシな顔なら舞台にも…というような内容。残された時間が少ない中、取り戻すように明るいトーンでずけずけとセンシティブな会話をする親子は泣ける
警察に追い詰められるファントム、舞台装置を動かして、ロープで自分を吊り上げる。父に撃ってくれるよう頼む。撃てない、声を上げるファントム。撃つ。警官を指揮している偉い警察官に父が自分の子だと耳打ちする、警察官は目を見開いて、部下たちを下げる、自分も去る。
クリスティーヌとファントムにスポットが当たり、泣き崩れていた父は四つん這いで舞台からそ~っとはける ごめんちょっとおもしろかった
ファントムを抱えるクリスティーヌ、仮面を外して、微笑んで、また仮面をつけてあげる(だっけ?外しっぱなしだっけ) 終幕


カーテンコール三回目 クリスティーヌとファントムだけがいる。手を繋いでてかわい~!クリスティーヌは手だけでなく体全体を左右に振っていてかわいい、幕がだいぶ降りて足だけが見える範囲になったらかかとを床につけてつま先を左右に振るファントムおもろい

3階の後ろのドセンだった。傾斜がきつくて席にたどり着くまでの道は舞台側に吸い込まれそうで若干怖かったけど、傾斜がきついおかげで舞台が前席の人の頭で一部隠れることなくよく見えた!よっぽど背が高い人が前に座らない限り視界良好のつくりだった。


2014年に見たファントムのメモが出てきたので貼り付ける

とてもパワーを持っていかれる舞台だった。城田優良かったし、山下リオさん歌も演技もすっごく上手で可愛かった。ふたりの歌手としての実力まったく知らなかったから、もしかしたらがっかりかもしれない…と思ってたけど全然心配いらなかった。
今回の「ファントム」は、「オペラ座の怪人」の前日談から始まり、けれども「オペラ座の怪人」とはまったく違う結末を描いた舞台だった。言わばパラレルワールド。
オペラ座は序盤から既にファントムはクリスティーヌの先生だったけれど、今回のファントムはクリスティーヌがオペラ座のパトロンに見初められるところから始まるので、ファントムがクリスティーヌにレッスン受けさせようと持ちかけるところや、彼らのレッスン風景が見られてとても良かった。
(「オペラ座の怪人」毎度恒例の)ファントムがクリスティーヌに懇願されて仮面を外し、彼の顔を見たクリスティーヌの逃走のところでは、わかっていたのに涙腺がゆるみ、(この後からは「ファントム」オリジナル展開)続くファントムとファントムの父が語り合うところではもう涙腺が使い物にならなくなった。
うろ覚えだけど、「生まれた僕の顔を見てどう思った?」「もう少し…顔がよければ」「ふふ…」「テナーとして(舞台に立つこともできた)!」って笑い合うところなんて特に。
自分はこの後死ぬだろう、誰にも顔を見られたくない、誰にも見られないように土に埋めて、とファントムがお願いして、父も、誰にもお前を見せやしない、深く埋めようって約束する場面、その後の、人々に取り押さえられて、父に今すぐ自分を殺すよう懇願するファントムも、引き金を引く父も、愛してくれた母のもとにファントムが帰った描写も、押し並べて泣かせに来ていて、これでもかというくらい涙を搾り取られた。

そもそもそんなに頻繁にミュージカルを見ているわけでもないけれど、でもミュージカルで泣いたことは今まで一度もなくて、どの舞台も見終わったら、あ~楽しかった~♡と高揚していたのに、今回のこれは役者さんたちと物語に体中のパワーを全部全部持って行かれてしまって、座って見ているだけなのにとっても疲れて(もちろんいい意味で!!)、終劇のあとはふらふらになって、寄り道する気力もなく真っ直ぐ帰った。引きずり方が生半可ではなくて、電車の中でもぼ~~~~っとしてた。

ファントムとファントムの父に泣かされ尽くしたわけだけど、ふと冷静になると、ただし親父、テメーはダメだと言わざるを得ない。妻がいる身でなーに他の女に手出しとんねん

親父がファントム母(若い娘で、当然この時独身)に手を出す→ファントム母が子(ファントム)を妊娠→母、父に結婚してくれるよう頼む→父、すまない私にはすでに妻がいるので君とは結婚はできない(ああ!?!?)→母、自分と子の行く末を思いつめて病んでしまい、放浪。路地裏で怪しい者から怪しい薬を買い求めているところを父に発見され、連れ戻される。→ファントムが生まれる。母が薬を服用していた影響で、生まれてきた子の顔は……
……親父のせいでファントム母とファントムの人生にケチがついたんじゃねーか!!

2018年宝塚版のメモ

レストランで団員オーディション
カルロッテが歌う
クリスティーヌも歌うけど声が小さい メロディメロディ…
ファントムがガラス窓の向こうにいて歌う→クリスティーヌ覚醒 すごいうまい、響く

(妻とは)愛のない結婚だったがカトリックなので(離婚して自分が孕ませたファントムママとは)再婚出来なかった。

ファントム閉幕

開幕したらバニーガール?がラインダンス始めるいつもの宝塚
背後に Phantom ってでっかくネオンの看板
ファントム劇中歌をテンション高くアレンジしたのをめちゃくちゃテンション高く歌う
もう情緒がむちゃくちゃ

どの時もファントムパパに怒っててワロ そらそう